話せば話すだけ孤独になる糞餓鬼のまま、歳をとってしまった。

 人と話すと疲れてしまう。たとえそれが、親しい友達との会話であってもそうだし、そうでない相手と話した後だともっと酷い。

 

 俺が、腹の底から糞のこびりついた言葉を吐くのをためらい、咽頭のあたりで糞をこすり落として話すと嘗められるか伝わらないかでバキュームカーの内部で窒息死寸前の子リスの様な気分になるし、そういった配慮をせずに話したら話したで碌なことにならない。

 

 どうしようもないカスが嫌味を言ってきているのを、気づかないフリをしてー負い目があるばっかりにー綺麗に捌いてしまった日なんかは、そういった場面での自分の手際のよさに驚かされると同時に本当に最低な気分になる。あと、内輪の話で盛り上がっているときに、近くに顔見知りがいることに気づいたり。以前なら知るかって感じだったが。

 

 最近は、上手く糞みたいな場を乗り切ろうが、楽しい会話をしようが、後味が悪い事が多い。しばらくはなんともなくても、ボディブローのようにじわじわと効いてくる。それがなんでもないようなことであっても。

 

 歳をとるにつれ、余計な分別がついてしまったばっかりにどんどん生き辛くなっていくのを感じる。久しぶりに思いっきりキレたい。怒るべきところでどんどん怒っていきたい。人が寄り付かなくなっても。もともと、他人に期待しないようにしていたし、人が嫌なのだから。

 そして、猫と犬と恋人といっしょにどこかに隠遁してしまおう。心を開ける存在が一人でもいてよかった。

 

 雪がなかなか溶けきらない。