啓蒙的な人間は嫌い

  意識の高い人間に、啓蒙的でありがたい話を得々と聞かされた後で、聞いてもないのに「君の性格のこういうところが駄目」というような、とっても含蓄のある人格攻撃をかまされてうんざりした気分が続いてる。さっき人格攻撃は駄目って言ってたのによくやるよな。その時にもなんだかイラついてはいたけど、頭の理解が追いつかなくて反論が間に合わなかったのが本当に悔やまれる。


  啓蒙的で、努力家で、意識の高い人間が社会に適応できているとは限らないし、人間性がそうした要素に追いついているとは限らない。むしろ逆だと思う。


  こういうことに出くわす度に、目をキラキラさせて人生を素晴らしくする方法を語る奴だとか、おせっかいで的外れなアドバイスを聞かせて来る奴だとかが信用出来なくなる。そんなのは人類史上でカーネギーデカルト位で間に合っているのに、あいつらは自分の口から出る言葉と、それによって引き起こされると信じて止まない前向きな作用、そして脳内で分泌されるなにかに酔いつぶれていて、そんなことも理解できないでいる。カーネギーも人にアドバイスすんなって言ってたよな。


  少なくとも俺にはそんな言葉も思想もアドバイスもいらない。そんなことを聞かされても相手の事が嫌いになって、反啓蒙的な思想が強まるだけだ。


  大川隆法ドラえもん池田太作、先生、大学教授、真面目な学生、親、近所のおせっかいおばさん、早めに事が済んでしまったあとの風俗嬢、中卒の友達、ジャンキー、精神を病んで自殺した知人、俺の生き方とこだわりと強情さ、流れていくうんこ、隣の家から聞こえて来るお経、コンビニのトイレの汚物いれが開いていて変態の残り香を感じた夜、今もどこかで話されている下衆な会話、梅毒で変形した顔、方法序説、道は開ける、ネイチャー、ナショジオ……

  それらを内包する地球を包み込む宇宙、そしてそれを巨大なTOTO製の便所につっこもうとしている神。

  鳴り響く終末の音と、それでも止まらない便意、とりあえずセックスの相手を探し始める童貞たちとそいつらをぶち殺そうとするあらゆる狂信者たち。カルト教の奴らが集団自殺しても報じられもせず、みんな等しく重い梅毒にかかって上の顔も下の顔も著しく変形してしまいみんな不細工になって容姿の共産主義革命が起こる、世界破滅するもやむなしと思い、絶望し、後悔して助かりたくて色々な事を思い出そうとする、なんでもいいから励ましてくれと強く願う。そんな時に意識の高い言葉を思い出してもイラつくだけだし、そんなこと直接言って来る奴がいたら間違いなくぶっ殺す。