海があり山があり金欠で怠惰な日々

 仕事を辞めますと宣言して、見事当日付けで辞めることが許された時の清々しさは独特でクセになる。だが、意気揚揚と帰路について五分もすると財布の中身が悲しいくらいにしみったれていることや、当たり前だが貯金なんてものは一切ないことを思い出して顔の筋肉が強張ってくる。おまけに求人を探して履歴書を書いて、面接を受けるというクソみたいなイベントが待ち受けているなんて耐えられないような気がしてくる。しかも、最後に当日辞職をキメた時よりも俺は確実に歳をとっていて、相変わらず貯金もなく、履歴書は無残な感じだし口を開くと本当にくだらないことばかり話していて、少し危機感を感じてしまうが、もっと救いようがないのは、今の俺は以前よりもかなり楽観的で、例えばクレジットカードの支払を催促するはがきが何通こようとも、殆ど焦ることもないし(無事解約された)、また、日々根拠もないのになんとかなるような気持ちで生きているので、職を失ってもなお適当に毎日を過してしまうのが目に見えていることだ。だから、ラストオブ退勤鬱もすぐにどこかにとんでいってしまう。

 先に手を打たなければ、自分をブチ抜くしかねぇ、と思って優雅な貧乏暮らしを極める前に、面接を受けてきたが、なるようになれやと思ってあまりにも正直に受け答えをした結果、話は盛り上がったが予想通り不採用であった。いつもならシコって寝るところだったが、それは沈没への第一歩な予感がしたのでやめておいた。どうか楽な仕事が見つかりますように。そして、貯金のない者どものために日本のありとあらゆる職場が週払いになりますように。