仏花

両岸を護岸で囲み、さらにその上に遊歩道を整備した、都会にありがちな運河の水面に黄色い花が散っていた。深緑の水面に鮮やかな緑色の茎が朧げな輪郭と、その先についた花と、それが少し散っている様子は美しかったが、どこか異様でもあった。あの花を投げ入れた人には、どんな意図があったのか、私は知らないし、今後知る事もないだろう。

 

職場に、ゴルフの話ばかりする人がいる。はっきりいって、みんなゴルフの話は飽きていて、それを隠そうともしていないのだが、そのおじさんはゴルフの話をし続ける。おじさんがゴルフの話をし続ける理由は知らない。なんでもいいから人と業務以外の話をする事で仲良くなりたいのかもしれない。そういう、独りよがりなところが災いしてか、職場の女性に嫌われるようになってしまった。おじさんはその事に気づき、悩んだらしい。悩んだ末に、二回り年下の男性の同僚にどうしたらいいのかと助言を仰いでいた。

後日。その若者は、あの歳で二回り年下の男に、悩み相談をして恥ずかしいと思わないのか、俺は絶対にそんなおじさんになりたくないと言っていた。もっともな事だと思う。

俺もそんなおじさんにはなりたくない。ただ、爽やかで人当たりがよくて、誰からも頼りにされたりするようなおじさんにはなれないだろう。

俺も中年を拗らせて、一方的に自分の話ばかりするようになったり、それを若者に相談したりするようになるのだろうか。

憂鬱だ。