たのしい、夢のような - 死にかけの蛇

サン・トワ・マミー越路吹雪 - YouTube

　一人で台風に怯えながら越路吹雪を聴いている。明日も早くに起きなければいけないのにこの体たらく。もう、十代でもないのに近頃は隔日くらいで、地味な遊びばかりしている、ひたすら歩きながらおしゃべりしたり、そんなの。若者はみんなお金がないらしい。私の周りで一番お金を持ってるのは実家暮らしの学生で、その次が下宿している学生、就職した友達は学生時代と変わらなかったり、酷い人だと学生の頃よりも困窮していたりする。私はというと、そんなことをしているうちに、全財産が千円ないし二千円くらいになってしまった。追い詰められているし、早急に財布の中身を確認しなおすべきなんだけど、逃げようのない現実を突き立てられるだけなので止しておこうと思う。死ぬわけじゃないし。

　こんな日に考えることは、お金持ちになったら、とか、めちゃくちゃもてたら、とか、本を一読しただけで内容を殆ど暗記してしまう天才だったら、とか、仲良しの友達が徒歩圏にいて、こんな日には友達も眠れなくて、どちらともなく呼び出してくだらない話を沢山できたらとかそんな子供じみたものばっかりだ。実際にお金持ちになるためには途方もない苦労と運が必要でそんなものをしょいこむのは嫌だし、本当になかのよい友達は大体地元にいるかこっちの友達の家もそれなりに遠いし、頭の良さは来世にかけるしかないし、マジで下らない。

　＜爛れたセックスがしたい＞とか、自分の身の振り方とか、下世話だったり、現実的なことが脳裏を過ったら振り払うようにしている。虚ろになるから。やっぱり、考えるなら子供じみた空想がよい。

　自分の腐りきった魂を漂白して、手洗いして、形状によってはパイプユニッシュも使って、よーくすすいだあとに、雪解け水の流れる春先の六甲山とかアルプスとかなんかそんなところに干したい、そして私（魂）の眼下で繰り広げられる生のスペクタクルと、青姦している山ガール山ボーイの性のスペクタクルを見て微笑みたい、微笑むことが出来るようになりたい、そんな場面に遭遇しても「あー、やっぱ、ビッチとヤリチン多いんだなぁ」とか思わない魂、カラオケで西野カナを歌う人がいても爆笑しない魂、歌詞やばいとか言わない魂、そんなクリアでクリーンな魂をゲットしてここからアウェイしたい、干している間はどうなるのか不安だけど。

　あー！！爛れたセックスしたい！毎日したい、台風の日は窓開けてしたい、今日は打ち止めだよーとか言いたい、だけど、まだまだ大丈夫でしょって言われたい、ブログに書くのははばかられるようなことがしたい、まるで性病の温床のような立ち飲み屋にいって、みんなで「ヘルペスになっちゃったんだよね、あれ、君も？そういえばサキちゃんみないね」とか言いたいか、いや、言いたくない、サ行変格活用を唱えながら、あるいは打消しの助動詞しりとりをしながらあるいはデカルトの朗読でもさせながら？？？学術的な、あまりに学術的な喘ぎ声をあげる一匹の獣ー＜メス＞ーになったgirlと鏡張りの北千住あたりにあるラブホテルの、今はもう動かない回転ベッドの上で花びら大回転、ちがう、ファック！そうファックして鏡に映る、一匹の獣と化したガールと自分の姿（筋トレ済み）を冷めた瞳でみつめながら、ながらながら！ジャック・ダニエル片手に煙草をくわえて、＜嗚呼、満たされない＞とか呟きたい。