久しぶりに思いっきり人の悪口を聞いた。その対象となっていたのは、昔仲の良かった友達だった。

段々と話が合わなくなり、イライラすることが増え、今では絶縁状態となってしまったその友人だが、あからさまに貶されていると、庇うほどではないにしろ少しもやもやとしてしまう自分に驚いた。

 

生きている時間に比例して、沢山の人たちが現れては去っていく。中にはやたらと印象に残ったり、もう一度話したいと思う相手もいたし、長く付き合える友達になることもある。だが、その友達ですらずっと仲良くしていけるかはわからない。通り過ぎていった人たちが、どうしているのかと考えるが、急に連絡するのは唐突に思えて、躊躇ってしまう。気になるやつばかりが増えていく。そうした事に思いを馳せる時、何か大事な事をとりこぼして生きているような気がして、落ち着かなくなる。

 

季節が秋を通り越して冬になり、12月も目の前に迫った頃になって、公園の木が半分ほど赤く染まっている事に気がついた。今年は金木犀の香りをあまり嗅がなかったきがする。

老婆が孫の手を引きながら歩き、爺がコンビニの前で酎ハイのロング缶を片手に顔を赤らめていた。