気づいたら朝になってしまう

生まれついて生活習慣を乱す才能に恵まれ過ぎたために、生活や心身のちょっとした乱れによって直ぐに睡眠や食事が乱れていく。

寝付けない夜に現れる蚊と自分しかこの世に存在しないのではないかと錯覚しそうになる、田舎特有の夜が、突き放すでも寄り添うでもなく部屋の中に充満していく。それは、雰囲気というにははっきりしていて、かといって個体でないことは明白で、曖昧なものであるが、自分にとっては懐かしい存在であることだけは確かだ。

まともに生きようと試みて、失敗する度に現れて、再びその試みを始めると消える。

どうしようもなく孤独で、みじめだった頃からの友達といってもいいかもしれないが、あまり愉快な存在ではない。

人生で一番どうしようもなかった頃の友達とはすっかり疎遠になってしまった。ひどいものは自殺し、生きている人達も伝聞で聞く限りではあまり上手く生きてはいなさそうだ。アスファルトで寝転んでみたり、深夜にうろうろしながら、幹線道路を走るセダンに無意味に悪態を付いてみたり、色々な話もしたような気がするが、今はもう会っていない。結局、一番長く付き合い続けている友達はこのクソ忌々しくてしみったれた夜だけで、俺がいくら離れようとしても付いてくるし、向こうから愛想を尽かすこともない。最悪な恋人みたいに俺から心地よく何かを奪っていく。

全速力で崖に向かって走っていくような勢いはもうないが、少しずつ間違っていって気づいたら枯れ果ててドロドロになったシキビみたいになりそうな。